過去恋に今の鼓動を重ねたら

真島くんに「おはよう」と返してから、家を出た。


「おはよう」


「おはようございます。コーヒー飲みます?」


「うん、お願い」


マイカップにインスタントコーヒーを入れていると雅也さんが出勤してきた。棚から青色のマイカップを取り出して、私のカップの横に置く。シンプルなカップだけど、実はオレンジ色の私のと色違い。

3ヶ月前からお揃いにしたのだけど、どこにでもありそうなシンプルさで誰も気付いていない。底を見れば、同じロゴが入っているのだけど、わざわざ底まで見る人はいない。

気付かれない部分のお揃いだけど、こうして並んだのを見ると形も大きさも同じで、何だかくすぐったい気分になる。


「昨日、早くに寝てしまったから返せなくてごめん」


「ううん、私も気付いたのが遅かったから」


ラインの返事が出来なかったことを謝られたけど、どちらかと言えば私のほうが罪悪感が多いはず。


「どこか出掛けてた?」