**side圭司


空が高い、そう感じるのは季節がすっかり秋になったからだ。

実らなかった初恋が、10年の時を経て実り、紗菜が俺の彼女になって、3週間が過ぎた、


パラパラパラ…

部屋の窓を開けると爽やかな風が入ってきて、テーブルの上の雑誌がめくれる。


「クスッ。何の本?」


冷蔵庫に買ってきた食材をしまい終えた紗菜が、ソファーに座りながら、雑誌を手に取る。

今夜は紗菜が得意のロールキャベツを作ってくれる予定だ。ものすごく楽しみである。


「ああ、それは…」


「インテリアの本?」


紗菜は、俺が答えるよりも先に答えを見つけ出していた。表紙を見た後、中を確認する。


「うん、照明特集が気になってね。勉強になるよ」


俺たちが勤めている「ヤナフィール」は、内装資材の商社だ。壁紙や床材が主だが、照明も扱っている。うちでは扱っていない変わった照明がその雑誌に掲載されていて、ぜひとも仕入れてみたいと思った。