過去恋に今の鼓動を重ねたら

圭司は、少し腰を浮かせてビールを取り、肩が触れあう距離で座り直した。ジッと私を見てから、ビールを空にする。


「飲み終わったの?もう1本持ってこようか?」


「いいよ。今はもういい。紗菜…」


「え?あ、私、まだ入っているから飲もう」


圭司の真剣な目を逸らして、ビールへと手を伸ばした。

しかし、ビールまで届かなかった。手首を掴まれたから。


「え、圭司…」


「俺、覚悟しておいてって、言ったよね?」


「覚悟って、なに…を…、んっ!」


キスを覚悟しろと言われていたのかな…口を塞がれた。私だって、距離を縮めたいと思っていた。


「紗菜が欲しい。好きだよ」


「私も…んっ…」


私だって、圭司が好きだし、欲しい。

再びされるキスは深いもので、ゆっくりと舌が入ってくる。入ってきた舌は、絡めるべきものを探して、捕らえた。

私の手首を掴んだ手は、後頭部に回されて、しっかりと支えられる。

終わらないキスに酔いしれる。このキス、好きだ。