過去恋に今の鼓動を重ねたら

「とりあえず、今はビール飲む?」


圭司が缶ビールを2本出す。


「もう飲むの?」


「だって、今日はもう運転しないしね。ほら、紗菜の分」


「うん、ありがとう」


渡された缶ビールのプルトップを開けて、軽く圭司のと合わせる。何に乾杯かな。小さな疑問を感じたけど、先に飲んだ圭司に続いて、私もごくごくっと飲んだ。


「はあー。やっと緊張が取れてきた」


「え?緊張してたの?」


リビングのソファーに並んで座る。3人掛けだから、余裕があって、30センチくらい間を開けた、目の前の大きなテーブルに缶ビールを置く。

横にも同じソファーが置いてある。


「緊張してたよー。変なことして、紗菜に嫌われないようにしなくちゃと思ってね。最初が肝心だろ?」


「クスッ。今まで1度も圭司のことを嫌いだなんて思ったことはないよ。でも、私も緊張してた」


「嘘だろ?紗菜は車の中でも寛いでいたじゃないか」


寛いでいた?ポッキーをパクパク食べていたくらいだ。