「あ、そうだ。私、ポッキーを持ってきたんだ」


後ろに置いたカバンから、ポッキーの箱を取り出した。


「ハハハッ、このタイミングでポッキー?いいね!」


修学旅行を思い出して、ポッキーを持ってきたのではないけど、本当にナイスタイミングかもしれない。私も笑いながら、箱を開けて、ポッキーを1本取り出した。


「はい、どうぞ。フフッ」


「え?ハハハッ、サンキュー」


圭司の顔に向けて、差し出す。あの時、私がした失敗を楽しそうにやってくれる。口を「あーん」と開けて、ポッキーを受け取った。

口を動かしながら、チラッと私を見て微笑む。私も微笑み返した。

恥ずかしかった思い出が楽しい思い出に変わる。

中学時代の圭司との思い出は、たった1年だけど、これから先は何年か分からないけど、たくさんの思い出を一緒に作っていける。

圭司が今の私を好きになってくれて、良かった。

また圭司を好きになれて、良かった。