過去恋に今の鼓動を重ねたら

追い出される社長はかわいそうだった。


「さて、紗菜。俺もこれから予定があるから」


「あ、うん」


圭司はここに入ってきたとき、ビジネスカバンを持っていた。外出前に顔を出したたのだろう。わざわざ5階まで上がって来なくても良いのに…。

サプライズにするつもりだったと言うけど、本当はちゃんと話す予定だったのかもしれない。


「全部終わったんだな?きれいになっている。お疲れさま」


「うん」


片付けの進行状況を見に来たのだろうか。話を逸らされてしまって…やっぱりログハウスのことはサプライズかな。


「あー、ゴホン」


なぜ咳払い?

どことなく緊張しているような…ログハウスに誘うだけで何で緊張?

場所が家からログハウスに変わっただけだし、それに対して不平を言うつもりもないのに。


「今までも何度か言っていたのに、なんか凄く緊張する」


「え、な、何で?」