過去恋に今の鼓動を重ねたら

「今夜、一緒にご飯食べよう」


「でも、圭司はまだかかるでしょ?」


「最低でもあと1時間はかかるけど、待っていてよ」


「うん、分かった。私もこれから総務に戻るから、そっちのことをやっているね」


普段の業務で急ぎのものは朱莉にお願いしてあった社長室の整理は今週いっぱいかかりそうだから、急ぎのものだけは頼むしかなかった。

それに、急に整理をすることになったから、まだ朱莉に伝えてないこともあった。朱莉がいるうちに戻って、話さなければならない。


「紗菜…」


「なに?」


早く片付けるために、出ていこうとしてきた圭司が振り返って、こっちに来る。

何だろう?


「口開けて」


「え?……あ、」


何だか分からないけど、言われるまま口を軽く開けると何かが投入された。

ん?甘い。

チョコレートだ。

投入されたチョコレートは、甘い香りと共に口の中で広がった。