由衣子さんが社長だと言われても違和感がないくらい、その場がよく似合っている。
「そっちで飲もう。ほら、紗菜ちゃんも」
「はあ」
コーヒーをお入れしますと言ったら、私の分まで入れるように言われていた。応接セットに向かい合って座る。
「紗菜ちゃんも自分の仕事があるというのに、片付けなんかさせてしまって、ごめんね。私が忙しくて来れない間にこんなに溜まるなんて思わなかったわ。自分で少しやったら良かったのにね」
「え、由衣子さんが来れない間?もしかして、いつも整理していたのは、由衣子さんですか?」
由衣子さんの姿をオフィス内で見たことは1度もなかったが、エレベーターを利用していたら気付かなくても不思議はないかもしれない。
だけど、本当に1度も会わないのは不思議すぎる。多分他の人も姿を見ていない。「社長の奥さんって、どんな人なのかな」と話題になったこともあったりしたけど、誰一人として正体を知らなく、謎に包まれていた。
「そっちで飲もう。ほら、紗菜ちゃんも」
「はあ」
コーヒーをお入れしますと言ったら、私の分まで入れるように言われていた。応接セットに向かい合って座る。
「紗菜ちゃんも自分の仕事があるというのに、片付けなんかさせてしまって、ごめんね。私が忙しくて来れない間にこんなに溜まるなんて思わなかったわ。自分で少しやったら良かったのにね」
「え、由衣子さんが来れない間?もしかして、いつも整理していたのは、由衣子さんですか?」
由衣子さんの姿をオフィス内で見たことは1度もなかったが、エレベーターを利用していたら気付かなくても不思議はないかもしれない。
だけど、本当に1度も会わないのは不思議すぎる。多分他の人も姿を見ていない。「社長の奥さんって、どんな人なのかな」と話題になったこともあったりしたけど、誰一人として正体を知らなく、謎に包まれていた。


