過去恋に今の鼓動を重ねたら

「おはようございます」


「河原さん、おはよう」


「岸本さん、早いですね」


珍しく私よりも早く出勤していた雅也さんがフロアに入った途端、近付いて来た。正直、昨日の今日でかなり気まずいけど、雅也さんはいつもと変わらない。

だから、私も気にしないで対応しなければならない。


「うん、すぐに出るから。悪いけど、これの入力を頼んでいいかな?」


「はい」


雅也さんから伝票を10枚ほど受け取る。午前中には終わりそうな量だ。

「よろしく」といつもの笑顔を見せて、出ていく姿に私の心はざわついた。私は笑顔で返すことが出来なかった。どうして、普通の顔が出来るのだろう。人を傷付けたという意識がないのかと不思議になった。

昨夜もあっさりしていたから、もしかしたら、罪の意識はないのかもしれない。オフィス内で秘密にしていたのは、こういう時、良かったと思うが、やっぱり騙されたという感じがかなりある。

大きくため息をついて、パソコンを立ち上げた。