過去恋に今の鼓動を重ねたら

だから、別れるなんて言わないで欲しい。彼女のもとに帰らないで欲しい。ずっと隣りにいて欲しい。

「行かないで」と、引き止めたい。

でも、気持ちが言葉にならない。引き止めることが出来なかった。


「さっきの電話は彼女?もしかして、一緒に住んでいるの?」


「ああ。彼女が大阪に行っている間は一人だったけど」


私を家に呼ばなかったのは、彼女がいたからだ。そんな理由まで分かってしまった。私は、何で1度も「部屋に行きたい」と言わなかったのだろう。

興味がないように見せていたけど、興味がなかったわけじゃない。知りたくなかったわけじゃない。

しつこく聞くことで嫌われることを恐れていた。鈴華が言っていた理由と同じ。

だから、嫌われたくないから今も引き止められない、最後まで物分かりの良い女を演じる。結局、私は雅也さんに本当の自分を見せきれていなかった。


責めることも、泣くこともしない私に、雅也さんは安心しているのかな?


「ごめん…今までありがとう」