過去恋に今の鼓動を重ねたら

胸のざわめきが止まらない私は、砂糖を入れたカップを何度も何度ともかき混ぜている。砂糖が既に溶けきっているの分かるけど、混ぜる手を止めることが出来なかった。

長々と話す雅也さんの話を酷い捉え方で要約すると…

あまり会うことがなくても、別れるという選択は出来なく、彼女をキープしたままの状態で、身近なところにいた他の女に手を出したというわけだ。

その女が私。


「好きと言ったのは、嘘だったってことよね?」


私は、嘘の告白に騙された。忘年会での帰り道だったから、酔っていた。だけど、酔っているからこそ出てしまった本音だと思っていた。だけど、あの告白は本心ではなかった。

私だけが一人で浮かれていたのかな。雅也さんは、遊べる女が簡単に釣れたと思ったのかな。

私は、そんなに軽い女に見られたのだろうか。何だか悲しい。


「いや、紗菜のことは本当に好きだった。今でも好きだよ」


「え、今でも好きって…」


この期に及んで今もまだ好きだと言うなんて、どういう神経をしているのだろう。