過去恋に今の鼓動を重ねたら

話したいことが何かと気になってしまったから、快諾してしまった。


「じゃ、昼になったら行くから」


午前中の業務は伝票の入力処理に追われた。入力が終わった伝票を課長の未承認箱に入れた。承認が終わったら、経理課に急ごう。


「紗菜さーん、ご飯に行きましょうよ」


「もう12時なんだ。あ、ごめん。今日は先約があって」


「えー。先約って、誰とですか?」


黄色い財布を片手に持った朱莉が、興味津々な顔で見てくる。

その少し後ろから、圭司の覗く顔が見えた。目が合った途端、目尻が下がったのが分かる。嬉しそうな笑顔を見せられて、胸が高鳴った。


「紗菜ー。行こうぜ」


「ええ?まさか、先約って、真島さんですか?」


私よりも先に反応したのは、朱莉だった。目を丸くする朱莉に圭司が笑いかける。


「ハハッ。久保さんも紗菜を誘ったの?紗菜は人気者だね。でも、今日は俺が先約だから、ごめんね」


謝ってはいるが、全然悪いと思っている顔ではない。