過去恋に今の鼓動を重ねたら

紗菜を傷付けるヤツは許せないが、紗菜の傷付く顔は見たくない。


「冬悟、帰ろうぜ。下見はもう十分だろう。まだ飲みたかったら、俺の家で飲めばいい」


「ん?ああ、そうだな。帰るか」


こういう時に持つべき友は、気が利く友だ。勘の良い冬悟はただならぬ空気を感じ取ってくれていた。


「あの男とどんな関係なんだ?」


バーから俺の家までは、奇遇なとこに歩いて行ける距離だった。こんな近くにあんな洒落たバーがあるなんて知らなかった。でも、もう行くことはない。

コンビニでつまみを買って、俺の家に入る。常備してある赤ワインをグラスに注いだ、


「あの男、紗菜の彼氏のはずなんだ」


「はあ?だって、あの彼女と結婚するんだろ?だから、あそこでプロポーズしていたし」


「俺もビックリしているよ。だけど、紗菜の付き合っているヤツはあの男で間違いがない」


岸本さんと紗菜が付き合っていることは、多分社内で知られていない。それは、本命がいたから隠していたのか?