過去恋に今の鼓動を重ねたら

何でも涙を流して喜んでくれるくらいのサプライズをしたいらしい。このバーでは、プロポーズプランというのが密かにあるらしく、その情報を仕入れた冬悟は意気揚々としているわけだ。


「俺は、プロポーズは場所ではなくて、言葉だと思うけどね」


たとえば、ラーメン屋だとか牛丼屋だとかでもいいと思う。こんな場違いなところで、こんなプロポーズをされるなんて!とビックリしてもらえるのが、俺としては理想だ。冬悟がいうサプライズとは違うけど、これもまたサプライズだと思う。


「言葉だって、もちろん大事さ。でも、アイツが雰囲気に弱いヤツだから、ものすごく喜ばしてあげたいんだよ」


「なるほど。確かに、ここはそういう場に相応しいかもな。カップルも多いし」


本当に男二人で来ているのは、俺たちだけで、なんだか惨めにも感じる。俺に相手がいないから、余計なのかもしれないが。


「圭司はどうした?例の運命の同級生は?」