過去恋に今の鼓動を重ねたら

***side 真島圭司


「おーい、圭司。こっちー」


「よお。待たせて悪かったな」


丸いテーブルに二つの黒い椅子が向かい合って置かれている。俺は、高校時代からの悪友である冬悟(とうご)の前に座った。

昼はカフェで、夜はバーとなるこの店は青い照明と白い壁が特徴的で、海の中にいるような気分になる。


「随分オシャレなとこだな」


店内をぐるりと見回す。同じテーブル席の他に、カウンター席があり、カウンターの横には水槽があって、色鮮やかな熱帯魚がゆらゆらと泳いでいる。

周りはほとんどカップルで、男二人でこの店にいるのは、場違いに感じる。


「下見を兼ねているからな」


「ああ、プロポーズ大作戦だっけ?」


「うん。彼女、海とか魚が好きだからどうかなと思ってね」


冬悟は2年付き合っている年上の恋人の誕生日にプロポーズすることを計画している。