「いつの間に、名前で呼ばれているんですか?紗菜なんて、言われちゃってー。もう、聞いているほうが照れますよ!」


本当に照れたようで、朱莉の頬は少し赤くなっていた。何で朱莉が照れるのだか…溜め息が出てしまう。私は特別な意味はないことを必死で説明した。名前で呼び合うようになったからといって、何も変わっていない。

朱莉は人の話を聞いていなかったのか全然納得しなくて、何度も「頑張ってください」と言う。今日は雅也さんが朝から外出していていなかったから良かったけど、いたら不信感たっぷりの目で見られていたに違いない。

課長が何度もチラチラとこっちを見ているのが気になるが、雅也さんに話すことなないだろうと思う。でも、二人はたまに飲みに行くこともあるので、油断は出来ないかもしれない。


自分と向き合っても、ハッキリとした答えを出せなかったから、圭司とだけでなく、雅也さんとの関係も今まで通りで何も変わっていない。