「来月のお給料に入ることになるから」


「うん、よろしく」


用事が済んだ圭司は、軽く右手を挙げて、総務課を出ようとする。


「真島さん」


「え、朱莉…」


「はい?なにか?」


素早く私の隣に並んだ朱莉が圭司を引き止めた。朱莉は何のために来て、何のために圭司を呼んだのだろうか?

用があったのなら、朱莉が始めから対応したら良かったのにと呆れてしまう。


「来週の納涼会、出ますか?」


「うん。出る予定だけど」


聞きたかったのはそれだけだったようだけど、なぜ今、聞くのかが謎だ。圭司の答えは、朱莉の期待通りのものだったらしく、「楽しみですね」とにこやかな笑顔を見せた。

しかも、なぜか私に向けてだ。


「紗菜も出るよな?」


「うん」


私はぎこちなく頷いた。


圭司が出ていってから、朱莉がまた肩を揺する。鼻の穴が少し開いているから、さっきよりも興奮しているのが分かる。