自分に向き合ったとしても答えが出ないのは、分かっていた。



「紗菜さん、来週の納涼会、出ますよね?」


「うん、出るよ」


朱莉が、回ってきた回覧の出席確認欄の私のところにも丸印を書いた。

納涼会の案内は社内メールで届いていたが、集計するには回覧が分かりやすいと総務部の幹事であるうちの課長が言っていた。アナログな方法だが、確かに集計はしやすい。

会社全体の納涼会は、最寄り駅近くのホテルで毎年開催されている。出席率がよく、いつも9割ほどが集まっていたから、今年もきっと大勢集まるだろう。


「紗菜さん。良い出逢いがあるといいですね!」


「良い出逢いって、会社のなんだから、みんな知っている人ばかりよ」


「じゃあ、やっぱり狙いは真島さんですね」


バーベキューの時に社長と圭司には、雅也さんと付き合っていることを知られた。だけど、二人は他の人に話さなかったようで、雅也さんとのことは噂にもならなかった。