「今日は、ありがとう」


「うん。こちらこそ遠くまで付き合ってくれて、ありがとう。じゃ、明日、会社で」


「うん。バイバイ」


小さく手を振って、走っていく圭司の車を眺めてから、スマホを見た。時刻は6時になるところだった。部屋に入り、雅也さんに電話を掛ける。


‘紗菜?どうした?’


「今、帰ってきたの。だから、一緒にご飯を食べれるかなと思って」


ここに来てもらって食べてもいいし、外に食べに行っても良いと思っていた。しかし、予想外の返事が返ってくる。


‘あ、ごめん。俺、予定が入ってしまって。紗菜、遅くなるって言ってたから。悪いんだけど’


タイミングが悪かった。雅也さんはこれから出掛けるという。せっかく急いで連絡をしたのに…と思ってしまったけど、身勝手な言い分だと思い直す。