過去恋に今の鼓動を重ねたら

辞書を片手に単語を並べてなんとか文章にすることが出来た。それを先生に提出すればおしまいと思っていた。しかし、「発表しましょう」と先生が言い出した。

一番前の席から順番に発表していく。文章は、2、3行の短いものだったから、順番が滞りなく回っていた。私は、体を固くしてジッと自分のノートを見ていた。他の子の発表なんて聞いている余裕はなかった。


「大丈夫?」


真島くんが小さい声で心配してきた。私は、ノートから目を離して、軽く頷いた。全然大丈夫じゃない…手が震えていた。

ふわっ…

机の下で震えていた手は、真島くんの手に包まれた。

私は驚いて、真島くんの顔を見る。優しく笑い、「大丈夫。絶対大丈夫だよ」私にしか聞こえない小さい声だけど、優しく力強い声だった。

真島くんの手の温もりは、私の緊張をほぐしてくれた。私は震えが止まり、穏やかな気持ちで発表することが出来た。

あんなに緊張していたのが嘘のように落ち着くことが出来た。「ありがとう」お礼を言った。