過去恋に今の鼓動を重ねたら

チラリと私のほうに目だけを向けた真島くんは、少し怒っているように見える。

なにかいけないことをした?

悪いことをした覚えはないが、体が縮こまる。


「え?無防備だなんて…そんなこと思ってないし。ま、真島くんは…友だちで同僚で、同級生で…」


「それだけ?」


車は動いているから、真島くんは前をしっかり見ている。動揺する私は真島くんから目が離せなかった。


「それだけって?えっと…あ、昔好きだった人…だよ」


「はあ…俺をからかっている?」


真島くんは肩を落として、盛大な溜め息を付いた。私の答えはどれも不服なものなのだろうか?

一体どんな答えを待っているの?

どんな答えが正解なの?


「からかってなんていないし、私はちゃんと答えているよ」


間違ったことは言っていないつもりだ。


「河原の本音が聞きたい」


「え?」


「今、俺のことをどう思っているの?」