過去恋に今の鼓動を重ねたら

ドキン!心臓が跳ねた。本日2回目だ。

ここに来た時、「欲しい」と言われたことを思い出す。同時にそれに対して、返事をしていなかったことも思い出した。


「そうだ!それこそ、俺の甥だ!紗菜ちゃんに嫌われない程度に頑張れよ」


今度は気合いを入れるためか背中を強く叩いていた。


「いってー。加減してくれよ」


本気で痛がる真島くんを見て、私と由衣子さんは笑う。変な空気になっていたけど、和やかな空気が戻る。



「ごちそうさまでした」


「紗菜ちゃん、またご飯を食べようね。それに今度はここに泊まってね」


陽気に手を振る社長夫婦は今夜、ここに泊まる予定だ。だから、運転をする必要のない社長は終始ワインを飲んでいた。明日は月曜日だが、ここから出勤するつもりらしい。

私は由衣子さんと一緒にビールを飲んだ。真島くんだけが、コーラや烏龍茶を飲んでいた。


「ごめんね。真島くんも飲みたかったよね?」