過去恋に今の鼓動を重ねたら

「はい！」と明るい声と共にスマホが戻ってきた。私の頭の中は軽くパニックだ。

雅也さんには、バーベキューに来ていることを知られるし、社長には雅也さんとのことがばれるし…あ、真島くんにも知られてしまった。

戻ってきたスマホにおそるおそる耳を近づける。不機嫌な声が聞こえてきたら、どうしよう。どう答えよう。


｀紗菜、楽しんできなよ。じゃ、明日´


「あ、うん。バイバイ」


意外にも明るい声が帰ってきて、拍子抜けしてしまった。社長が一緒だから、安心したのかな。




「美味しいです！」


「フフッ。いっぱい食べてね」


社長に案内されたとリビングルームは、吹き抜けになっていて、今までに見たことのないくらい広かった。そこから外に出れるドアがあった。

そのドアを開けるとそこはまたきれいに整備された庭で、置かれているバーベキューコンロが小さく見えるくらい広かった。

そこで、社長の奥さまを紹介された。想像通りの美しい奥さまは、「由衣子（ゆいこ）って、読んでね」と気さくに話しかけてくれたので、少し緊張が解れる。