でも、限界がある。特に最近は。


「しかし、同じ会社で働くなんてこれからワクワクするわよねー」


「ちょっと何を楽しんでいるのよ。やめてよ」


鈴華は何事においても全力を尽くす女だ。仕事にしても、恋愛にしても、とことんやれるとこまで頑張る。

頑張りすぎるところがあるから、たまに糸が切れて、憂さ晴らしに愚痴をまく。その愚痴を聞くのは大体私の役目になっている。

でも、今は恋人がいないので、仕事の愚痴だけで助かっているという本音は、鈴華には内緒だ。

とりあえず、鈴華の愚痴はもう聞いたから、私の番だった。


私の話は愚痴というより相談だ。昔、好きだった男が自分の働く会社に就職してきた。どうしよう?どうしたらいい?という相談。

自分ではどうしていいか分からないから、第三者からの冷静な意見が欲しかった。


「んー、転職の理由は、いろいろあるだろうけど、紗菜がいるからという理由が一番大きいと思うな。紗菜を狙っているとしか思えないけどねー」