「紗菜なんて、考えても結論が出なかったのにね」


「うっ、それ、嫌味ですか？」


二世帯住宅や同居のことを話されても、結論が出せなかったのは事実だけど、何も考えていなかったわけではない。私なりに悩んだのだ。

雅也さんだって、出せない答えに納得してくれてその話はとりあえず終わったのに、ここで再び持ち出されるなんて…。


「いや、俺もはっきり言い切ることが出来なかったから。でも、結論が出なかったことが今になっては良かったかなとも思ってる」


「え？良かったって？」


なぜ結論が出ないことが良かったのだろう？意味が分からない。


「あー、まあいい。真島くんとはただの同級生なんだものな。まあ、ちょっと妬いたというか焦っただけだよ。悪いな、こんなことで時間を取らせてしまって。戻ろう」


「はい」


何が良かったのか分からないままだったけど、今日はまだ全然仕事が進んでいないので、長々と話をしている場合ではない。