過去恋に今の鼓動を重ねたら

「いや、やることはない。ちょっと話したいというか、聞きたいことがあったから二人だけになれる口実に言った」


「聞きたいこと?」


握られる手にも汗が出てくる。

冷静にならなければいけないと思うのに、全然落ち着かない。

それでも精一杯普通にしようと頑張る。こんなことを頑張るのはおかしいけど、冷静に返すためには頑張らなければやり過ごせない気がする。


「真島くんがうちの会社に入ったのは、紗菜が関係しているのかと思っていたんだよ。同級生だと言っていたし、紗菜のことを気にしている様子だったから」


「え…私は何も…」


真島くんがこの会社に入った一番の理由は、転勤がない会社だからだ。私は何も関係がない。ただの同級生。


「でも、さっき、社長の甥っ子だと言うから、あーそっちなんだと思ったけど、真相はどうなの?」


「え、真相?」


「そう、真島くんがうちの会社に入った真相だよ」


「あー、そのことね」


「他に何があるの?」