よく考えたら、確かにそうだ。出来上がってきたら、すぐに持っていく。まして、社長のなのだから、催促される前に持っていくだろう。

でも、社長に届けると言ってしまった。まだ出来上がってない可能性だってあったのに、何で簡単に受けてしまっただろう。つくづく後悔する。


「えっと、いつ出来てくる予定ですか?」


「多分今日くらいには出来てくる予定だよ。確認してみるよ」


雅也さんがすぐに電話をかけてくれる。

社長は出来上がってなかったと謝ったとしても、怒らないと思う。でも、困るだろうから、なんとか早くに届けてあげたい。

私は祈る思いで雅也さんを見つめた。


「本当ですか?じゃ、お待ちしてます」


聞こえるのは雅也さんだけの声だけど、何となく状況が把握できていた。すぐに持ってきてくれるのかもしれない。


「10時頃に持ってきてくれるって」


「10時ですか…あ、社長に伝えてきます」



課長に断ってから、5階ににある社長室へ急いだ。1階から5階まで階段を上るのは正直きつい。

息があがってしまったけど、深呼吸して、ドアを叩く。