なぜ私が理由になったのか聞きたかったのに、話をはずらかされてしまった。

それに、もう帰るという。仕事帰りだし、明日も仕事だから、真島くんにも早く帰って休んで欲しいから引き止められない。


だけど、寂しい。具合が悪くなると妙に寂しくなる。

いつの間にか、食べた器は洗ってくれていた。


「ほら、ベッドに行って。あ、でも、鍵をかけてもらわないとだね。河原、玄関まで来て」


「うん…」


真島くんの続いて、私も玄関まで行く。


「今日はありがとう」


「うん。河原…」


「え…」


呼ばれたと同時に、腕を引っ張られ抱き締められた。 ギュッと優しく抱き締めて、髪を優しく撫でる。

なんだか安心できる。ずっとこのまま、眠るまで撫でていて欲しい。


「はい。ここまで」


「え…」


真島くんは半歩後ろに下がって、離れた。

待って…もっと…と伸ばしたくなる手をだらんと下げた。求めてはいけない。


「俺は彼氏じゃないから、これ以上は出来ないよ。してはダメだろ?」