過去恋に今の鼓動を重ねたら

開いたドアから玄関の靴を見ると、素早く入ってきた。


「久保朱莉さんが教えてくれた」


「朱莉が?」


「うん、河原が心配だからお見舞いに来ようと思っていたらしいよ。帰ろうとしていたところで外から戻ってきた俺と行き会って、なぜかお願いします!と託された」


朱莉から頼まれたことを思い出したのか真島くんは笑う。

朱莉も何で真島くんに頼んだのだろう。


「電話しても出なかったから、そのまま行っても大丈夫ですよと言われたけど、大丈夫だった?誰もいないよね?」


さっき私の靴しかないのを確認したはずなのに、念押しをしてくる。


「うん」


「あがってもいい?」


「うん。どうぞ」


私はチェック柄のスリッパを差し出した。

真島くんは私の後ろを歩く。背後に感じる気配に緊張してきた。

入れてしまったけど、入れないほうがよかった?

今さらだけど、失敗したかもしれないと思った。