過去恋に今の鼓動を重ねたら

「ありがとうございます。今日はご挨拶だけに伺ったのですが、課長さんは?」


「あいにく今、会議中でして、課長も副課長もそれに出席しています。チーフは今日休みだし…」


今現在の総務課は不在者が多く、がらんとしていた。私たち3人は人の少ないフロアを見渡す。


「では、明日が定期メンテナンス日なので、改めて伺います」


「ああ、悪いですね」


「岸本さーん、電話です。出られますか?」


「うん、出るよ」


雅也さんは呼ばれて、自分のデスクに戻る。私も戻るかな。真島くんも帰るみたいだし。

え?

真島くんはもう一度名刺を1枚取り出して、裏に何かを書いていた。

課長に伝言かな?


「じゃ、明日また来るから」


そう言って、名刺を裏にして差し出した。そこにはプライベートメアドと共に「メールして」の走り書きがあった。

返事する間もなく、真島くんはお辞儀をして出ていった。