一つだけ願いが叶うなら

どれぐらいその場に座り込んでいたんだろう。

携帯の着信が鳴って、私は我に返った。

色んな事があって戸惑っていた私は名前も見ずに電話に出た。


?『もしもし、佐伯か?』


いつもより少し低い声、その声に私は凄く怯えた。

電話の相手とは、社長…つまり、夜月零央。


沙『はい…。』


私はビクビクしながら返事をした。


零『今日のことなんだけど。』


沙『は…はい…。』


零『佐伯のしたことは許せない。

でも、こうなったのは俺にも原因はある。

そこまで愛叶を弱らせたのは紛れもなく俺自身だ。

だから、俺には佐伯を責める資格はない。

ただ、仕事を辞めろとは言わないが、秘書は外れてほしい。

悪いな。』