一つだけ願いが叶うなら

車内の中では二人共無言で、気づいたら家の前だった。


沙『今日は、ありがとうございました。』


そう言いながら一礼した。


空『別に、俺は何もやってねーよ。

それより佐伯さん、明日からはもう秘書じゃなくなる覚悟だけしときな。』


萩原空はその後にじゃあなと付け加えて帰っていった。

鍵を開けて、家に入った瞬間力が抜けて玄関に座り込んだ。

萩原空に最後に言われた言葉。


『明日からは秘書じゃなくなる覚悟だけはしときな。』


この言葉が頭の中をグルグルと駆け巡った。

自分がしてしまったことはそれだけのことだと思い知らされた気がした。