断罪校則

どうしてだか解らないけれど。

俺も矢木さんも、和也を引き留める可能性がある言葉を投げかけるだけで精一杯で。瞬時に体を動かす事は出来なかった。


「なんで追いかけなかった」

「いやあ、矢木さんこそ」
「……君が、動かないから」
「え゙え?俺の所為?」

和也の姿を完全に見失ってから、呑気にこんな会話を交わす謎の余裕があったのだから、始末に終えない。

ゆらり、ゆらゆら、

不気味に月が揺れる。






「……っ!じゃ、なくて!俺は後を追いかけて来るから、あーっと、矢木さんは…」
「今更帰れだなんてふざけた事をほざいて見ろ。空まで飛ばすぞ」
「ゔっ」

「解れば良いんだがな?解れば」

人の悪い顔でニヤリと笑って、今度は矢木さんが俺の手を掴む。

「さあ、行くぞ!」
「?!?!」
「追いかけるんだろう?私達も潜入だ!」

何の迷いもない瞳。

勿論、俺にだって迷いなんてなかった。ぎゅうと力いっぱい掴まれた手は、彼女の温もりに呼応するように自身も熱を帯びる。

そうだよな。“逃がさない”って。先に仕掛けたのは俺だ。だったら、


「よし、行こう!」

目的地は一つ、――聖堂高等学校。