断罪校則

波紋のように広がる不安。

「……かず、っ」

俺の声は、ざあと不自然な程に大きく悲鳴を上げた風の音に掻き消されてしまった。

落ち葉が舞う。


ひらり、ひらひら、

音もなく宙で踊るそれは、悪戯に時間をかけたかと思えば。潔く、自らの最期の場所を決める。ひらり、ひらひら、







「俺サ、今日は大きな仕事をしようと思って此処へ来たンだ」
「……は?おま、何言って、」

「学校に、潜入して来る」

ドクン

和也の言葉に呼吸が止まった。いや、正確には息をする事を忘れた。喉の奥が、肺が、現実を受け止めようとしない。

そんな情けない俺の隣から、泣き声にも似た怒号が飛ぶ。

「駄目だ!そんなの…!駄目に決まっている!私の話を聞いていなかったとは言わせないぞ!先生の二の舞になりたいのか、君は!」

矢木、さん、

「絶対に行かせない!」
「…でも、もう決めたンだ」

和也は俺と矢木さんを交互に見て、ふと柔らかく笑う。――笑ったんだ。和也も…





「時間だネ」

規則正しい旋律で、何かを伝えるアラーム音。静かな動作でその音を止め、真っ直ぐに。ただ校舎だけを見据える親友。

「自分で撒いた種なら、尚更自分でケリをつけたいんだよ。だから、」

ごめんね

そう、たった四文字を甚く苦しそうに吐き出して。和也は一瞥をくれる事もなく走り去って行ってしまった。