「和也!」
使い込まれた年代物のブランコに座っている親友に向かって、俺は軽めに手を振った。勿論、隣には矢木さんも居る。
無理矢理に引っ張ってきた彼女が。
「……亜貴、矢木さん…も?」
ゆっくりと揺れていたブランコが、キイと一際大きな音を立ててその動きを止めた。
「笹原君、」
「―――」
意図せず見つめ合う二人。
まるで時が止まってしまったかのような空間に伸びる三人の影は、交わる事はない。和也も矢木さんも、それぞれに思う所があるんだろう。暫くこの状態が続いた。
ただ、
「ゴメン!」
「悪かった」
沈黙を破ったのは一瞬。
静かな公園に重なる二つの声は、とても澄んでいて。なんというか、同時に謝った本人達が一番驚いているみたいだった。だって、考えられない。
あの和也と矢木さんが、狐につままれたような顔で固まっている。そんな二人の珍しい姿を見て、思わず笑ってしまった。
「ぶっは!…っ、ふは、あははは!」
「「何笑って――!」」
わざわざ俺の方に向き直して文句を言う二人の動きが、これまた同時で笑いを誘う。コントかっての。
まあ、怒られそうだから言えなかったけど。もしかしたらこの二人は気が合うのかもしれないな。なんて、心のなかでは呟いて。



