矢木さんは泣いている俺に対して何かを言うでもなく、ただ黙って待っていてくれた。
そんな不器用な優しさに、ぐいと乱暴に拭って止めた筈の涙が数滴、また流れて落ちる。
「ご、ごめ、……も、落ち着いたから」
浅く、短く深呼吸。
「続きを聞かせてくれ」
本日、何度目かのアイコンタクト。真っ直ぐに重なり合った視線の先で、矢木さんもまた、深呼吸をして唇をゆっくりと開いていく。
「父も、少年法については色々と思う所があったみたいでな。心を痛めたと言っていた。そして、政府にもこの事件は伝えられたと。そう言っていた」
此処で少し、沈黙が流れた。
「父の口から聞けた事は此処までだ。此処から先は私の勝手な推測だが、この事件が校則になんらかの形で反映されているんじゃないかと睨んでいる」
「ここで、校則に繋がんのか…」
「ああ。恐らく、政府が動いたんだと思うんだ。事件の時期と妙な校則が一斉に始まった時期が、ほぼ重なっているしな。君達が中学生の時はなかっただろう?」
ぞわりと鳥肌が立つ。
確かに、中学生の時にはなかった。近所で仲良くして貰っていた二つ上の先輩達の学校の校則なんて、あってないような割と適当なものだったし。守ってすらいなかった。
そんなものだと思っていたから驚いたんだ。そう、入学式の時に。
「笹原君の行動は、皮肉にも自分の首を絞め…」
ブルブルと、
タイミング悪く矢木さんの言葉を遮り、突然俺のスマホが激しく振動した。
鼓動と、バイブがシンクロする。
「!」
もしかして、
頭のなかに浮かんだ人物の可能性を消さないように。縋るような、祈るような気持ちで、胸ポケットへと指を滑り込ませる。
そんな不器用な優しさに、ぐいと乱暴に拭って止めた筈の涙が数滴、また流れて落ちる。
「ご、ごめ、……も、落ち着いたから」
浅く、短く深呼吸。
「続きを聞かせてくれ」
本日、何度目かのアイコンタクト。真っ直ぐに重なり合った視線の先で、矢木さんもまた、深呼吸をして唇をゆっくりと開いていく。
「父も、少年法については色々と思う所があったみたいでな。心を痛めたと言っていた。そして、政府にもこの事件は伝えられたと。そう言っていた」
此処で少し、沈黙が流れた。
「父の口から聞けた事は此処までだ。此処から先は私の勝手な推測だが、この事件が校則になんらかの形で反映されているんじゃないかと睨んでいる」
「ここで、校則に繋がんのか…」
「ああ。恐らく、政府が動いたんだと思うんだ。事件の時期と妙な校則が一斉に始まった時期が、ほぼ重なっているしな。君達が中学生の時はなかっただろう?」
ぞわりと鳥肌が立つ。
確かに、中学生の時にはなかった。近所で仲良くして貰っていた二つ上の先輩達の学校の校則なんて、あってないような割と適当なものだったし。守ってすらいなかった。
そんなものだと思っていたから驚いたんだ。そう、入学式の時に。
「笹原君の行動は、皮肉にも自分の首を絞め…」
ブルブルと、
タイミング悪く矢木さんの言葉を遮り、突然俺のスマホが激しく振動した。
鼓動と、バイブがシンクロする。
「!」
もしかして、
頭のなかに浮かんだ人物の可能性を消さないように。縋るような、祈るような気持ちで、胸ポケットへと指を滑り込ませる。



