「中学生一人に警視庁が潰されかけた。此処まで言えば分かるだろう?」
「……威信に関わる?」
「なんだ。難しい言葉を知っているじゃないか。そう、それが答え。正解だ」
ぶはっと大きく息を吐き出して、新しい酸素を肺に取り込む。それと同時に僅かに頭を下に向けた。
「―――」
確かに、中学生一人に警視庁が潰されかけた。こんなニュースが公になったら日本は大変な事になる。だから隠したのか。いや、もっと深い何かが…
「父はな、ハッキリとは言わなかったがこう言っていた」
『その中学生は、名前も顔も住所も自ら曝してきていてな。出きるものならマスコミにでもなんにでも公表しろ!どうせまた少年法で出来やしないクセに!と、挑発してきたんだ』
和也のしようとした事。
言葉の意味、深さ、全部、ぜんぶ。どれ程の重みがあっただろうか。和也は、きっと。
ぱた、ぱた、
より深く下がってしまった頭の所為で、頬を伝うことなくフローリングに落ちる涙。
俺ってさ、こんなに泣き虫だったっけ。情けねえって思うのに、溢れて来る涙を止める事が出来ない。
そうか、そうだったんだ。
お前、訴えたかったんだな。あかりちゃんのことを。少年法の理不尽さを。
「……か…ずや、」
掠れる声で、名を呼んだ。
掛け替えのない親友の名を。俺の、唯一無二の相棒の名を。



