断罪校則

 
「こんな事ってあンのか?それに、何で俺達だけ違うんだよ!何で多いんだよ…!」

思わず声が大きくなってしまった俺を見つめながら、矢木さんは小さく溜息を落とす。


「……少し、家族の話をしてもいいか?」
「え?」

何でこのタイミングで家族の話?

もっとこう、学校についてとか校則についてだとかの話をするんだと思っていた。けど、家族の話?選りにもよって?

些か、凡人の自分には理解しかねる展開に、疑問だけを持って思考も身体も固まる。まあ、当の本人は相変わらず飄々としているけれど。そして、その涼しい顔のまま

「私の父は、」
「お父さんは?」

たっぷりと間を取って。

「矢木秀一郎。――警視総監だ」

紡がれた言葉に、

疑問は一発で吹き飛んだ。いやいやいや。警視総監っつったらめちゃくちゃ偉い人なんじゃねーの?!確か、警察官の階級制度上、最上、位…え゙ええぇぇ!

「う、うう、嘘だあ」
「嘘なもんか。この歳でこんなマンションに独り暮らし、この意味が解るだろう?」

そう言われると、ぐうの音も出ない。ええと、つまり。父親が警視総監だからこんなセレブみたいな暮らしが出来ているってわけか。おお、成程。意味が解らん。

「何故こんな話をと思っているだろう?」
「ア゙?!…や、うん、ハイ」
「本当に、君は素直というかなんというか」

「イエ、滅相も御座いマセン」


「この話は、笹原君にも大きく関係しているんだがな」
「……和也?」

忙しなく動いていた瞬きが止まる。

「私が久しぶりに実家に帰った日、偶々父が居てな。酔わせて話を聞きだしたんだ」
「何の、…話を?」