「それに、妙な点が幾つもあるんだ」
怒りからか、哀しみからか、震えるか細い声を聞いて、無意識に眉尻が下がる。
「先生の死因は発作、という事に表向きはなっているらしいんだが。何故か詳しい原因は教えて貰えなかったと言っていた。それに、その発作の起こり方が異常だったらしい。まるで毒でも飲んだかのような」
「……毒?」
この時、恐ろしい仮説が浮かんでしまった。
「なあ。先生がその発作を起したのって…」
矢木さんは静かに頷き、
「ああ、学校から帰宅してすぐの事だったそうだ」
「!」
納得、と同時に絶句。
きっと自分の考えている事と矢木さんの考えている事は同じ筈だ。そうだ、そうだよ。矢木さんは言っていたじゃないか。
――奴等に殺されたんだ!って。
俺達の学校は一体どうなっているんだ。歯向かえば、教師すらも殺すのか。解らない。解りたくない。でも、これは現実。
「先生達は何をしようとしてるんだ?」
意を決して問えば、矢木さんも首を振る。
「まだはっきりとは解らない。だが、校則が関係している事は明らかだろうな」
「……校則」
「これを見てみろ」
いつの間に用意していたのか、B5サイズのクリアブックを手に厳しい表情を見せる矢木さん。勢いよくこちらへと向けて投げられたそれが、ガラス製のリビングテーブルの上を綺麗に滑ってくる。
「―――」
見てみろ、と言われた。つまり見なきゃいけない。でも、クリアブックを手にはしたものの、中身を見ることは躊躇した。
この中には何があるのだろうか。知ることが怖い。暴くことが怖い。でも、見なければ先へ進む事は出来ない。だとしたら、
――見るしか、ねえよな。



