断罪校則

――夏休み直前


事件は唐突に起こった。

同じクラスの小之原という男。この男が、早くも五つ目の校則違反を犯したこの日。

世界が大きく動いた。

私と先生の、ささやかだけど幸せだった世界。大きく大きく動いて、壊れていった。

前に何の気なしに話をした事がある。この学校の校則について。


『実は俺、赴任してきて今年が二年目なんだけど。校則違反の事はまだ教えて貰ってないんだよね。新米だけ除け者なんて、酷くない?』
『……へえ』

正直、興味がなかった。自分が違反をするとは思わなかったし、したとしても大した事ではないのだろうと思っていたから。関係ないと、高を括っていた。

しかし、




三日後。

小之原はまるで別人のようになって学校に戻ってきた。入学当初から問題児だったのは誰の目から見ても明らかで、その行動は酷いものだったけれど。

今の彼はどうだ。

外見は何一つ変わっていないが、中身が違う。まるで機械のように規則正しく動く彼の姿は、気味が悪い程だった。最早面影すらもない。恐ろしい変化。

そして、私は愚かだった。


「小之原への対処について、俺は何一つ関わらせて貰えなかった。話さえも聞かせて貰えなかった。アイツの担任なのに…!」

いつもの屋上。いつもの二人だけの時間。けれど、圧倒的に違うもの。

悔しそうに柵に拳をぶつける先生を見て、ざわざわと胸の奥が騒いだ。そうだ、どうしたって先生はそういう人だ。嫌だ、待ってくれ、行かないで、――先生。