断罪校則

「てゆうかー」
「…え?」
「亜貴くんも和也くんも、遅刻したのが部活で良かったねえ」

手をプラプラと振りながら、俺と和也を交互に見る先輩。

「これ、部活だったからセーフだけど、フツーの遅刻だったら準校則違反ゲット系だよぉ~?」
「……あ」
「まあ、アユは校則違反もう三つ溜まってるンだけどねえ」

今度は左右させていた手で髪の毛を弄り、首を揺らし始めた先輩。この時、俺の頭の中には一つの疑問が浮かんでいた。

「校則違反、五つ溜まったらどうなるんスか?」

それは、本当に素朴な疑問で。素朴だけど、ずっと、引っ掛かっていたものだった。

「―――」

俺の質問に和也は黙り込み、一方の先輩は、あーとか。うーとか。少しだけ悩んだ素振りを見せ、グロスで艶めく唇を薄く無邪気に開いていった。

「んと、ねえ。よくわかンないんだけど、別に停学とか退学になったりはしないみたいだよぉ?前にクラスの子が五つ違反しちゃったんだけど、三日休んだだけだったもーん」

三日、休んだだけ。

何故だか妙に引っ掛る。それは押し黙っていた和也も同じのようで。眉間に皺を寄せながら、続く先輩の話に耳を傾けていた。

「ま、そン時はそン時だよ。亜貴君も和也君も気をつけてねえ?」
「は、はい…」
「じゃ、アユはユト君の所に行ってきまーす」
「お疲れ様です」
「――デス」

「はーい、バイバイねえ~」

満面の笑顔で走り去っていく先輩。

俺と和也は、しこりのように残った違和感を胸に抱えたまま。小さくなって行く先輩の後姿を、ただ見つめる事しか出来なかった。