何が入っているんだろう。
 私の疑問の答えを告げたのは、芽衣の母親だ。

「おかしいじゃないですか。突然お金を持ってきて、誓約書にサインしろなんて」

 私はその内容に眉根を寄せ、もっと良く話を聞こうと身を乗り出そうとした。その時、襖に体がぶつかり、こつりと音がした。

 そして。玄関に立っていた女性と、芽衣の母親の視線がこちらに移る。

「また来ます」

 彼女が立ち上がると、さっと玄関に手をかけ出て行ってしまった。

「お話し中だったのにすみません」

 芽衣の母親が戻ってくるのを待ち、立ち上がると頭を下げた。

「あの子の部屋に、あの子の悪口を書いたメモがあって、正岡先生に何かあったのかと尋ねたの」

 私は芽衣の母親を見る。

 彼女は頷いた。

「そしたら、さっきの人が頻繁に来るようになってね、お金を渡すから、二度といじめについて追及しないという誓約書を書けと言ってくるようになったの。あと芽衣の携帯とや所持品も確認させてくれ、と」