私だったら、あんな目に遭ってまで学校になんか行かないろ思う。

 私の顔を見て、芽衣の母親は笑みを浮かべた。

「芽衣ももう直ぐ転校だってことは知っていたわ。だからちゃんと学校に行きたかったのかもしれないわね」

 逆に期限があるからこそ耐えられると思い、学校に通っていたのかもしれない。

 そう考えるといたたまれなかった。

「亡くなる日の前日に、芽衣が友達が出来たと嬉しそうに話をしてくれたのよ。芽衣と友達になってくれてありがとう。その携帯にも友達はあなたの番号だけが入っていたのよね」

「松下さんのは?」

「入ってなかったわ。でも、芽衣はメールアドレスも電話番号も覚えていると言っていたの」

 その言葉に私の視界が滲む。

 おそらくロックをかけていても、明香なら解除させる。

 彼女はあえて松下さんの番号を登録していなかったのだろう。
 そして、おそらく彼からのメールも削除していたのだ。
 彼女はどんな気持ちでいたのだろう。