「わがままをいってすみません」

 私は突然そうしたいと言った事に謝っていた。

「そんなことないわ。すごく嬉しいの。あの子はだからこうしてお参りに来てくれる人がいるなんて、松下君以外いなかったもの」

「松下君って」

「芽衣の友達よ。学校が違っていたけど、夏前に親しくなって良く一緒に遊びに行っていたの。折角仲良くなったのに、離れ離れになると嘆いていたわ」

 私は二人が一緒にいるのを見た事がない。だからこそ、二人がどのような関係を過ごしていたか、想像で補う事しか出来ない。

「松下さんが進学したい大学が遠いとか?」

「それもあるけど、こっちも引っ越すの。来月から主人が別の支店に移動になることが決まっていたの。芽衣には悪い事をしてしまったわ。こんな短期間で二度も引越しをするなんてね」

 私が戸惑いを露わにしたからか、彼女は頷いていた。

 芽衣は無理に学校に行く必要もなかったのかもしれない。