明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。


「おはよう。優香。どうかしたの?」

 いつもより一オクターブ高い声に優香の体がピクリと反応した。

 私が優香の背後を見ると、そこには明香と由紀、そして亜紀子がいた。

 親しげな二人とは異なり、明香の目は座っている。

「昨日のメール私に対するあてつけのつもりかしら?」

 言葉自体は優しかったが、その口調には凄みがある。優香は私の机にくっつくまで後退してきている。

「私、知らない。そうだ。昨日の放課後だよね。ちょっと携帯を貸してくれない」

 優香は何かを思い出したののか、あゆみに携帯を貸すように促した。。

 あゆみは携帯電話を渡す。

 優香の顔色が若干良くなっている。何らかの打開策を彼女なりに見つけたのだろうか。

「この時間、明香と一緒に中庭に居たでしょう? だから誰かが勝手に送ったのよ。私も明香も教室に鞄を置いたままだったし」

 優香は上手くいいわけをしたつもりだったのだろう。彼女の言葉のキーもいつものような得意げなものへと変わる。