明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

　あゆみが持っていた文庫本を机の上に置き、携帯電話を机の中から取り出した。そして、簡単な操作をすると、優香にそれを見せる。

　優香の持っていたシルバーの携帯電話が音を立てて落ちる。


　私は驚き、その電話を拾い上げ、優香にその電話を手渡そうとしたが、彼女はなかなか受け取ろうとしなかった。

「黙っているから大丈夫だよ」

「私も古賀さんには言わないよ」

「そうじゃないの。メール、明香にも届いているみたい」

　私は驚いて優香の携帯電話の中身を確認した。

　優香の携帯のメールは同じグループ内の由紀に二週間ほど前に送ったものらしかった。

　だが、なぜか昨日になって複数人に送っている。私とあゆみに加え、明香を含めた男女数人にも送信している。普段から優香と話をする男子だ。

「だって、私、こんなメール送ってないのに」

　そのとき、優香がメールを送った田辺と江原が入ってきた。二人はこちらを見ると、あからさまに目を逸らす。明らかに関わり合いになりたくないと態度で示していた。

「どうしよう。私」