「亜紀子、謝ったほうがいいよ」

 優香が肘で亜紀子をつつき、そう囁いた。

 明香は眉根を寄せ、二人のやり取りを見つめていた。

「ごめんなさい」

「仕方ないから許してあげるけど、二度と私に偉そうな事を言わないでよね」


 まるで女王様だ。

「じゃあ、私は戻るね」

 部屋を出ていこうとした私を明香の声が呼び止めた。

「でも、誰かがここに隠して嫌がらせという方法も考えられるよね。そういえば誰かさんは私の話の途中で出て行ったもの。あのタイミングなら隠せるよね」

 彼女の疑いの矛先は私に向いたようだ。私はあまりのバカらしさに肩をすくめた。

 彼女は世の中の人がそこまで自分や、彼女の持つ高級品に関心があると思っているのだろか。

思い込みも甚だしい。