明日を迎えられない少女は何を望んでいたのだろうか。

「何でそんなところにあるのよ」

 真っ先に明香がかけてきて、それを奪い去る。

 まるで私が泥棒をしたみたいだ。

「中身はなくなっていない?」

 私は不満を表に出さずに問いかける。明香はチャックを開け、中身を確認すると頷いていた。

「でも、誰かがここに」

「良かったじゃないですか。とりあえず全員の荷物検査はせずにすみましたよね」

 明香は犯人捜しをしたくて堪らないようだったが、先生たちはあくまで明香たちの過失で片付けたいようだ。

誰かが嫌がらせをしたなど、これからの事を考えると認めたくなかったのだろう。

彼女たちは誰にでも思い違いはあると言い残し、部屋を出て行った。

「何であんなところに置いていたんだろう」

 明香はいまだ腑に落ちないのか、頬杖をついている。

「まあ、誰にでも思い違いってあると思うよ」

 そうなだめた亜紀子を明香は睨んだ。


「あんた何様のつもりなの? 私があんなところに置いたとでも言いたいの? 偉そうに」

 その言葉に周りが一気に静まり返る。