岡部君は苦笑いを浮かべると、そのメモに視線を走らせる。

「つうか、御手洗って大垣のこと好きなのかね」
「違っ」
「はあ? あんな陰湿ないじめをする女に好かれても嬉しくなんかねえよ」

 否定する亜紀子の声を打消し、大垣君はあからさまに嫌そうな顔をする。

「それ、返してよ」

 亜紀子が残りのプリントを奪い返そうとする。

「これ、やっぱりお前のなの?」
「違う」
「お前のじゃないならいいじゃん」

 榊原君は楽しそうに見ている。

「おい、古賀と渋田の引出にも同じの入っているよ。あとはやっぱり保田とかの机にもありそうじゃね?」

 岡部君はそう言うと楽しそうに笑う。

 その近くの席の人はそそくさと確認し、プリントの周りに人だかりができる。