「先生がどうしたの?」

 芽衣の母親が言っていた言葉が頭を過ぎる。

「見てみたら早いよ」

 彼はそういうと、友人に声をかけ、教卓までの道を作ってくれたのだ。
 教卓の上には数枚のパソコンで印刷されたと思われる写真があった。

 そこに写っていたのは正岡と明らかに二十代と思われる髪の毛を茶色に染め、派手な化粧をした女性だ。

 その奥にはオレンジや赤のネオンの光が点っている。同じ女性だが、服装や場所が違うため、別の日に撮影されたものだろう。

 正岡は教師であれど、成人はしている。
 正岡が独身で、相手が恋人であればこういう写真を撮られたことはおいておいても、問題がないはずだった。

 だが、正岡は妻も子供もいるのは、クラスメイトのほとんどが知っている。それどころか、六月の体育祭のとき奥さんが来ていたため、顔を見たことがある生徒も少なくないと思う。私もそのうちの一人だ。

 二人は親しげな友人同士にはどう足掻いても見えなかったのだ。
 要はそういうことなのだろう。

「これって」
「まあ、そうなんじゃないの?」